ガソリン価格「下げ止まり」か GWで急落 レギュラー100円切り多数 今後どうなる?

公開日 2020.05.18

 2020年1月から下落が続いていたガソリン価格が、ゴールデンウイークを通じてさらに大きく下がりました。

 資源エネルギー庁が発表した2020年5月11日(月)時点における、レギュラーガソリンの店頭現金小売価格の平均は、1リットルあたり124.8円でした。毎週実施されているこの調査は例年、ゴールデンウイーク中は休止されるため、4月27日時点から2週間で4.2円の値下がりとなり、調査ごとの下げ幅としてはここ10年で最大の数値を記録しています。

 ガソリン価格比較サイト「gogo.gs」の全国ガソリン価格ランキングを見ると、5月14日(木)現在で、レギュラー1リットルあたり100円以下という店が20軒近くあります。3月下旬の時点では、新規オープン店がキャンペーン価格を打ち出すなどで、局地的に100円以下の店が見られましたが、たとえば105円以下の店舗も現時点で120軒以上見られるなど、低価格化は全国に進んだといえそうです。

 ガソリン価格下落の背景について、資源エネルギー庁の価格調査を受託している、一般財団法人 日本エネルギー経済研究所 石油情報センターは次のように話します。

「ゴールデンウイークにおける旅行需要の急減によるものというよりは、単純に原油価格が下がったためと見ています。石油元売りの統合が進んだ近年、ガソリン価格は原油価格に直結する傾向です」

 過去を振り返ると、いわゆる「リーマンショック」直後の2008(平成20)年10月から11月にかけては、ガソリン価格の下落がいまよりも顕著で、レギュラーガソリンの店頭現金小売価格の平均が1週間で10.3円も下がったことがあります。しかし今回は、それとは状況が大きく違うようです。

 

下げ止まり? 需給バランス改善へ期待感

 エネ研・石油情報センターによると、昨今の原油価格の下落は、需給のアンバランスによるものだといいます。

「金融危機に端を発したリーマンショックのときは、モノと人の流れは変わらず、カネの流れが不全になったことが原油価格に影響しましたが、現在は新型コロナの影響により、その反対のことが起こっているのです」(一般財団法人 日本エネルギー経済研究所 石油情報センター)

 つまり、実質的な経済活動の世界的停滞により、石油が供給過剰になっていることが原油価格を押し下げているというわけです。しかし現在、これら状況が改善することへの期待感が高まっていることから、来週、5月18日(月)の調査では、ガソリン価格が上昇すると予測しているとのこと。

「5月に入り、欧米など世界的に経済活動再開の動きが見られること、またサウジアラビアとロシアが5月から石油の減産へと舵を切り、当初6月までの予定が、7月も延長する方針であることから、供給過剰の改善への期待感も高まっています」(エネ研・石油情報センター)

 実際、5月11日(月)の週には、日本の石油元売り大手もガソリンの卸値を1リットルあたり6円以上、上げているそうです。

 ただし、新型コロナウイルス感染拡大の第2波、第3波も懸念されることから、「しばらく原油価格は新型コロナに左右されるでしょう」(エネ研・石油情報センター)とのこと。また、世界的に外出自粛期間を経てテレワークが普及するなど、社会構造も大きく変化し、経済活動が「元通り」になるかも不透明だそうです。石油業界も「ポストコロナ」を見つめている、といいます。