不動産売買契約書のチェックポイント

売買契約書の見方と注意点

不動産売買契約書を読んでみたけれど、「意味が分からない」「内容が入っていいかない」「どこが大事だかわからない」など思う人が多いでしょう。
不動産売買契約書には専門用語が使われており、直接不動産会社から説明を受けても、その場では理解していたものの、あとで読み返すとわからなくなってしまったなど、
初めてのことならこのような経験はあると思います。
このような状況に陥らないために、実際に使われている売買契約書の見本を使って、契約書に記載されている内容や注意点を解説していきます。
(見本の書式は全国宅地建物取引業協会連合会の区分所有建物用です。)

土地・建物に関する欄

売買契約の対象として、所有権移転を行う土地・建物を特定するための欄です。
土地は所在、地番、地目、地積が記載されています。
建物は所在、家屋番号、種類、構造、床面積が記載されています。
地域によって、地番と住所が異なる場合も多いので注意してください。地積や床面積が実測値ベースなのか登記簿ベースなのかの確認も必要です。

売買代金、手付金等の額、支払日に関する欄

売買代金の総額、土地代金、建物代金、手付金が記載されます。残代金は売買代金の総額から手付金を差し引いた額を記載しています。
手付金の上限は宅建法にて定められています。詳しくは「手付金について」をご覧ください。
基本的に支払い時期は「所有権移転・引渡し・登記手続きの日」と同じ日にするのが、トラブルや一方の当事者に大きな不利益や損害が生じる可能性を防ぎます。

・売買代金に間違いがないか

・手付金の金額は妥当か(一般的には売買代金の1割前後が多い)

・解約手付の場合、いつまで解約ができるか

・支払う期日に間違いないか

などを確認するようにしましょう。

その他約定事項に関する欄

所有権移転・引渡し・登記手続きの日

土地や建物など売買対象の不動産の所有権移転登記を行い、不動産を引渡す日のことを言います。
理由は先ほど支払日で解説で述べたように、トラブルや一方の当事者が不利益や損害を受ける事態を避けるために代金支払い時期と同じ日にします。

 

公租・公課分担の起算日

不動産売買契約書でいう公租・公課とは固定資産税と都市計画税等の土地建物にかかる税金のことを指します。
固定資産税・都市計画税はその年の1月1日時点の所有者(登記名義人)に対して、1年分が課税されます。
通常売買は固定資産税等の起算日に引渡しが行われるというわけではないので、所有権が移転して引き渡しが行われた日以降の税金は買主が払って、その前日までの分は売主が負担するという考えが一般的です。
お互いの負担分を計算するための、固定資産税等の起算日はいつなのかということが問題になります。そこであらかじめ税金の起算日を契約書に記載して決めておくのです。
起算日は、関東では1月1日、関西では4月1日とすることが多いようです。

 

手付解除の期限

手付金は契約時に買主から売主に支払われます。詳しくは「手付金について」をご覧ください。
民法では手付解除ができる期限は、”契約の相手方が契約の履行に着手するまでの間”とされています。しかし、この履行に着手した時点がいつなのかというのは、客観的になかなかわかりにくいのです。
そこで、こういった契約の不安定な状態に区切りを決めましょうと手付解除に期限を設けました。
この期限を過ぎると、手付解約ができなくなります。契約解除をするには、違約金を支払わないとできないということになります。

融資利用に関する欄

住宅ローン等の融資を利用して不動産を購入する方が多くいらっしゃるでしょう。
万が一、住宅ローンの審査が通らなかった場合、無条件にて売買契約解除することがきる「ローン特約」、「ローン条項」といわれる特約を契約にいれるのが一般的です。
しかも、支払済みの手付金も返金されます。融資を利用して不動産を購入する場合は、必ず入れておくべき特約です。
「融資申し込み先」、「融資承認予定日」、「融資金額」、「融資未承認の場合の契約解除期限」、「融資利用に必要な書類の最終提出期限」を記載します。
ここで決めた期限を過ぎると、ローン特約による解除ができなくなります。期限を過ぎた場合、手付解除、もしくは違約金を支払っての契約解除となります。

瑕疵担保責任、建物状況調査等に関する欄

※売買を行う建物などに「瑕疵」があった場合、どれくらいの期間売主が責任を負うのかということを定める欄です。
詳しくは「瑕疵担保責任とは」で解説していますので、ご覧ください。コチラをクリックしてください。

署名・捺印に関する欄

契約書の内容をきちんと理解し、双方が合意すれば売主は①に、買主は②に、住所を記載し、署名・捺印を行います。
宅建業者が仲介を行う場合は、③に媒介業者の欄に必要事項を記載して押印を行います。また、④には宅地建物取引氏が記名・押印を行います。
媒介業者の欄が2つあるのは、複数の宅建業者が取引に関与した場合のためです。売主側の業者、買主側の業者がそれぞれ別の場合などです。
マイホーム株式会社と直接お取引をする際は、①と②と④のみの記載、署名・捺印になります。

約款および特約に関する欄

約款は定形的に売買に関する詳細な決まり事を定めたものです。さまざまな契約書に付属している細かな文字で書かれているイメージです。
特約に関しては、それぞれの取引特有の合意事項や決まり事です。例えば、売主は引渡しまでに残置物を撤去する、印紙の負担は売主が負担するなどの約束事を特約の欄に記載します。
約束事などは特約事項として契約書に明確な形で定めておけば、のちにこのような費用負担や責任を巡ってトラブルを予防できると思われます。
約款、特約についてもきちんと理解して契約を交わしましょう。