重要事項説明書のチャックポイント

事前に重要事項説明書の内容を理解しましょう

不動産売買契約を結ぶ前に、買主に対して、「取引物件」や「取引条件」について、書面をもって説明することが義務付けられています。この書面が「重要事項説明書」です。
購入するかどうかの最終的な判断をするためには、その内容を理解することが大切です。
以下、チェックポイントを項目ごとにまとめましたので、書類でわからない点や気になる点を確認してみてください。

説明を受ける前の確認

重要事項説明の説明者が確かに宅地建物取引主任者であるかをしっかりと確認します。
説明者から宅地建物取引士証の提示がない場合は、きちんと見せてもらいましょう。

物件概要の確認

対象となる物件の所在地や面積、登記簿に記載されている項目などが記載されます。
まずは、対象となる物件の所在地、間取り、構造、築年数などについて、パンフレットと異なる部分がないかを確認しましょう。
住宅ローンを利用する要件や各種税金の軽減措置として、物件の登記簿の面積の下限が決められているものがありますので確認が必要です。
抵当権が設定されている場合は、売主がその物件を担保に金融機関から住宅ローンなどの借り入れを行っている場合が多くなっています。
抵当権が抹消される時期を確認し、契約書にその旨が盛り込まれているかを確認しておきましょう。

法令上の制限の確認

用途地域や建ぺい率など、各種の法令に基づく制限事項が記載されています。
極多くの法令の制限がありますので、すべての法律を理解することは難しいでしょう。
主に、土地・戸建ての場合、住宅を建てられない区域になっていないか、予定している建物は建築可能か、年月が経ち建築基準法や都市計画法の改正により、同じ建物の再建築ができなくなってないか。その地域にはどんな建物が建てられるのか、その土地に建てられる「建物の高さや面積」などに関する法基準などを確認しましょう。

土地と道路の関係について(主に土地・戸建て)

道路と敷地が接する面の長さ、敷地に接する道路の幅と、私道負担に関する項目が記載されています。
自分の私道負担の有無はもちろん、私道負担者が誰なのか、私道のその面積や位置なども確認しましょう。
私道は、関係者が単独で所有している場合、関係者で分割して所有している場合、関係者で共有している場合など、権利関係が複雑です。
その為、発生する負担、維持管理のための負担金、通行料の負担が必要な場合など、物件により様々なので注意が必要です。

飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の設備状況の確認

飲用水や電気、ガス、排水の設備がきちんと整備されているかを確認しましょう。
仮に供給施設が未整備の場合は、設備の見通し、工事負担があるのか、いくら負担するかについて把握しておきましょう。

敷地や建物の状態についての確認

敷地の形状や、建物の構造・仕様、(未完成の場合は、完成予定の内容・仕様)が記載されています。
戸建て・土地の場合は道路からの高さ、傾斜の有無、排水施設の状態などを確認しましょう。
中古物件の場合は「付帯設備表」と「物件状況確認書」が渡されます。それを見て、建物の現状について確認しましょう。
未完成の新築物件の場合はパンフレットや図面集などの資料を確認し、食い違いがないか気になるところがないか確認しましょう。

宅地建物の存在する区域の確認

造成宅地防災区域は、造成された一団の宅地のうち、地震等によって地盤の滑動などの災害が発生する恐れが大きいとして指定される区域のことをいいます。
この区域内の宅地の所有者等は、災害を防ぐための擁壁の設置や改造などに努めなくてはいけません。
また、災害を防ぐための措置が不完全な場合、所有者等は、擁壁の整備等に関して、都道府県知事から勧告や命令を受けることがあります。

土砂災害警戒区域は、急傾斜地の崩壊(がけ崩れ)・土石流・地すべりを発生原因として生じる被害が発生するおそれがある地域について、市町村が警戒避難体制を整備すべき区域として指定されます。
物件が土砂災害警戒特別区域内にある場合は、宅地の開発や建物の建築などに制限がありますので、購入予定物件が該当する場合は注意しましょう。

津波災害警戒区域は、津波が発生した場合に住民等の生命又は身体に危害が生ずる恐れがあり、津波による人的災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべきとして指定された土地の区域のことをいいます。
津波警戒区域内では、津波の発生時における避難施設の指定など、警戒避難のために必要な措置が講じられます。事前に避難経路や避難施設は確認しましょう。

自分の敷地がどの災害区域内なのか区域外なのか、特に戸建ての場合は十分に確認しましょう。

石綿(アスベスト)使用調査の有無とその内容

対象物件について、石綿使用調査結果の記録の有無が記載されています。
アスベストは繊維が細かく軽いため、飛散しやすく、人がアスベストを吸引すると肺に残り、数十年の潜伏期間を経て肺がんなどを発病するといわれ、昭和50年(1975年)に原則として禁止となりました。
そのため、特に昭和50年(1975年)以前の建物に関しては、使用調査の有無とその内容を十分に確認しましょう。

耐震診断に関する確認

昭和56年(1981年)6月1日の建築基準法改正により新耐震基準が設けられることになりました。
したがって、それ以前に建築確認を受けた建物は、「旧耐震基準」に基づいて建築されたことになります。
旧耐震基準に基づき建築された建物で、一定の耐震診断を受けている場合があります。耐震診断の有無と結果について十分に確認しましょう。

共用部分についての確認(マンション)

管理形態や委託先、管理費、修繕積立金などが記載されています。
中古マンションの場合、売主が管理費や修繕積立金を滞納していないかをチャックし、ある場合はどう対応するかも確認しましょう。
大規模修繕計画や、管理規約についても契約前に目を通しておきましょう。
他にも、共用部分の範囲や使用方法、駐車場の有無、ペットの使用可否なども確認しましょう。
駐車場や駐輪場などを使用する場合は、月額の使用料金や使用者を決める方法も確認しましょう。

代金及び交換差金以外に授受される金額の確認

手付金、固定資産税や都市計画税の精算金、管理費や修繕積立金等の精算金など、売買代金以外に授受される金銭および目的が記載されています。
金銭については十分に確認した上で、売買契約に臨みましょう。

契約の解除に関しての確認

一般的な契約書においては、手付金の放棄による契約解除など、どのような場合に解除できるか、解除するためにはどのような手続きが必要なのか、解除した場合の効果はどうなるのかについて確認しておきましょう。
契約違反による解除は売買代金の2割以内か、ローン特約による解除は取扱金融機関名や、借入・返済内容の詳細まできちんと明示されているか確認しましょう。

手付金等の保全措置の概要

売主である宅地建物取引業者が、売買契約前に、(A)完成物件で物件代金の10%又は1,000万円を超える手付金等を受け取る場合、(B)未完成物件で5%又は1,000万円を超える手付金等を受け取る場合、のいずれかの場合には、手付金等の保全をしなければなりません。
これによって、売主である宅地建物取引業者が万が一倒産した場合などでも、手付金等は買主に返還されるようになっています。保全措置の方法について確認しましょう。

瑕疵担保(かしたんぽ)責任の履行に関する措置の確認

売主が瑕疵担保責任の履行に関する措置について説明されます。 
瑕疵担保責任の履行に関する措置とは、売主である宅地建物取引業者が倒産などにより、瑕疵担保責任を負うことができない場合でも、保険への加入などにより瑕疵担保責任を行うための備え(=措置)をしている(=講ずる)かということです。
よく混同されるますが、瑕疵担保保証があるかどうかの項目ではないことに注意しましょう。
平成21年10月1日より、新築住宅の売主には、瑕疵担保責任の履行に関する措置を講ずることが義務化されました。
詳しくは「瑕疵担保責任とは」で解説していますので、ご覧ください。コチラをクリックしてください。